オランダの防爆機器メーカーであるEx Machinery社の防爆カメラ(ATEXカメラ)「Armadex OZC 3」は、OM SYSTEMのタフネスカメラ「Tough TG-7」がベースであることを最近知りました。

ePHOTOzineの「Armadex OZC 3」レビュー記事で、この機種は「Tough TG-7」をベースに特殊な改造を施して製造された防爆カメラであることを知り、ビックリ。「Armadex OZC 3」は2024年1月に発表された機種で、発売から2年ほどが経過しています。
防爆カメラ / ATEXカメラ とは
「ATEX」はフランス語の「Atmosphères Explosibles(爆発性雰囲気)」に由来する言葉で、EU圏内で可燃性ガスや粉塵が舞う危険な場所に電気機器を持ち込む際、取得が義務付けられている法的指令(安全基準)を指します。
つまり、ATEXカメラとは「万が一、周囲にガスや燃料が満ちていても、カメラ自体が火花を出したり熱を持ったりして、爆発を引き起こす原因にならないよう特別に設計・製造されたカメラ」なのです。
なぜ普通のカメラではダメなのか?
通常のスマートフォンやデジタルカメラ、監視カメラは、以下のような「目に見えない爆発の引き金」を引くリスクを持っています。
- 電源を入れたりシャッターを押したりした瞬間の、回路内の微細な電気火花(スパーク)
- バッテリーや基板が帯びる異常な熱
- 静電気の発生
ガソリンスタンド、製油所、化学プラント、可燃性の粉塵が舞う小麦粉工場や製材所などでは、こうした小さな火花が施設全体の致命的な大爆発に繋がります。
Armadex OZC 3 の特徴

基本性能は「Tough TG-7」を引き継いでおり、防爆仕様(ATEX Zone 2 / 22認証)に適合させるため、以下のような変更・最適化が行われています。
- キセノンフラッシュの無効化
火花(スパーク)による引火リスクを排除するため、内蔵のキセノンフラッシュが完全にカット(物理的に無効化)されています。 - LEDライトの活用
フラッシュの代わりに、安全な内蔵高輝度LEDライトを光源として使用します。 - 専用レンズフィルターの装備
レンズ前面に空気層を作る特殊なフィルターが配置され、万が一の衝撃時にも内部の密閉性が保たれる設計になっています。 - 工事・点検向けモードの最適化
工場やプラント、建設現場での写真提出用(CALSなど)の「工事モード」や、製品ラベルを鮮明に写すための「ラベルキャプチャモード」が組み込まれています。
化学プラント、LNGタンカー、製油所といった可燃性ガスや粉塵が舞う危険エリア(防爆エリア)において、安全に高画質な記録写真を撮影できる数少ない産業用デジタルカメラとして重宝されているそうです。
Tough TG-7 工事モード

オリンパス時代は、通常のタフネスカメラに加えて「工一郎」という現場仕様(工事写真専用)の非常に有名なモデルを出していました。OM SYSTEMになってから「工一郎」モデルは投入されていませんが、「Tough TG-7」には最初から「工事モード(現場写真向けの画質やCALS設定)」が標準機能として組み込まれています。
驚きの価格差
ちなみに「Tough TG-7」の公式オンラインストア価格は82,500円(税込)。「Armadex OZC 3」の公式オンラインストア価格は1,738ユーロとなっています。単純に現在の為替レートで約32万円です。カメラとしての基本性能は同じでも、厳格な法的指令をクリアするための特殊改造や、防爆認証の取得にかかるコストがいかに重いか、産業用機器ならではの世界が垣間見える驚きの価格設定となっています。


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